【組織マネジメント100の考え方】#22「“採用”はミスマッチを防ぐ情報戦略」

― 採ってから悩むのではなく、“合う人”を最初から惹きつける ―

「せっかく採用したのに、すぐ辞めてしまった」
「採用面接ではよかったのに、現場に合わなかった」
「思っていた人材と違った」

採用における“ミスマッチ”は、多くの組織が抱える悩みのひとつです。
人手不足の中、急いで採用したものの、入社後に「価値観が合わない」「指導が大変」「戦力にならない」という問題が発生してしまう。
これは、採用の“質”が成果に直結する現代において、組織にとって非常に大きな損失です。

では、どうすればこのミスマッチを防ぐことができるのか?
その答えは、「採用=情報戦略」であるという発想にあります。


「情報の非対称性」がミスマッチを生む

採用で起きるミスマッチの多くは、応募者と組織の間にある**“情報のギャップ”**から生まれます。

  • 応募者は「明るく働きやすそう」と感じていたが、実際は業務が厳しかった

  • 会社側は「即戦力だと思っていた」が、本人は「丁寧に教えてくれると思っていた」

  • 面接では礼儀正しかったが、実際には協調性がなかった

こうした“思い込みによるギャップ”が、早期離職やパフォーマンス低下を招くのです。

だからこそ必要なのが、“情報の正確な伝達”を行う採用活動=情報戦略としての採用なのです。


採用は“選ぶ”より、“選ばれる”時代へ

かつては、企業が人を選ぶ「買い手市場」でした。
しかし今は、求職者が会社を選ぶ「売り手市場」です。
特に20代・30代の若手人材は、企業の“内情”を事前に細かくリサーチし、自分に合うかどうかを見極めています。

  • 雰囲気は自分に合うか?

  • 成長できる環境があるか?

  • 働いている人はどんな人か?

  • 価値観が自分とフィットしているか?

こうした視点で企業を選んでいる彼らに対して、“条件面だけ”の情報提供では、響きません。
これからの採用は、「いかに“等身大の自社”を伝えるか」がカギになるのです。


ミスマッチを防ぐ“情報戦略型採用”の4つの要素

①【採用ページ・媒体に“らしさ”を込める】

求人票や採用ページの文章は、単なる条件説明ではなく、「自社の価値観や文化を伝える場」です。

  • 経営理念

  • どんな人が働いているのか

  • 1日の流れ

  • 入社後のリアルな声

  • 離職率やキャリアパス

こうした“内情”をできる限り開示することで、「合う人」が自然と引き寄せられるようになります。

②【写真・動画で“空気感”を伝える】

文字だけでは伝わらないのが、“職場の空気”や“人の雰囲気”。
採用では、実際に働いている様子を「写真」や「動画」で見せることが非常に効果的です。

  • スタッフの笑顔

  • オフィス・院内の風景

  • 仕事風景の一コマ

  • 先輩からのメッセージ動画

こうした視覚情報によって、「ここなら働けそう」「雰囲気がいいな」という直感的な判断が促されます。

③【面接で“見極め”よりも“相互理解”を】

面接は“選別の場”ではなく、“すり合わせの場”です。

一方的に質問を重ねるのではなく:

  • 「うちの仕事はこういう部分が大変です」

  • 「こういう価値観が合わないと苦しいかもしれません」

  • 「やりがいを感じられるのは、こんな瞬間です」

と、“本音”で話すことで、相手も本音を返してくれます。
これにより、「入ってからギャップを感じる」ことを防げます。

④【採用後の“オンボーディング”も戦略のうち】

採用は“入社したら終わり”ではありません。
むしろ、「入社後3ヶ月間で、定着するかどうか」が成否を分けます。

  • 入社初日に行うウェルカム施策

  • 定期的な1on1フォロー

  • OJT体制と教育スケジュールの明示

  • 小さな成功体験を積ませる仕掛け

これらの“受け入れ体制”を戦略的に設計することも、採用の一部なのです。


情報を開示するほど、良い人材が集まる

「そんなに内情を出したら、応募が減ってしまうのでは?」という心配はもっともですが、**本当に欲しいのは“誰でもいいから来てほしい人材”ではなく、“共感してくれる人材”**のはずです。

だからこそ、あえてネガティブな側面も正直に伝えることが重要です。

  • 「忙しい時期は残業が出ます」

  • 「人の顔色を伺うより、自分の意見を言える人が向いています」

  • 「先輩との距離が近く、人間関係を大切にする文化です」

このように明確に伝えることで、「それでもここで働きたい」という人が集まり、ミスマッチが圧倒的に減ります。


結論:採用は“戦略的な情報設計”で成功する

採用は、「募集を出す→面接をする→合否を決める」という“採用活動”ではなく、
「どんな人と働きたいかを明確にし、その人に“刺さる情報”をどれだけ発信できるか」という“情報戦略”です。

そしてその戦略を貫けば、「入ってくれてありがとう」だけでなく、「入れてくれてありがとう」と言ってくれる人材が増えていきます。

今、あなたの採用ページには“らしさ”がありますか?
面接では、理念や文化が語られていますか?
そして何より、「合う人」が入ってきていますか?

採用とは、「発信」です。
組織の“内面”を発信すればするほど、あなたに合った人は、きっと現れます。

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MHアドバイザリー株式会社

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