【組織マネジメント100の考え方】#32「“人間関係の質”が業績に直結する理由」

― チームがうまくいっていないとき、売上も止まる ―

「なんとなく職場の空気が重い」
「スタッフ同士の連携がうまくいっていない」
「人間関係のトラブルが業務に支障をきたしている」

こうした状態に心当たりはないでしょうか?
「業績が伸びない原因はスキルや戦略ではなく、“人間関係の質”にある」——これは、多くの経営者やマネージャーが体感している現実です。

人間関係の“良し悪し”は目に見えませんが、確実にコミュニケーション、モチベーション、判断、協力、改善、そして売上に影響を与えています。
つまり、人間関係の質=組織の生産性なのです。


組織における「人間関係の質」とは?

人間関係の“質”とは、単に仲が良いとか、話しやすいというだけではありません。

  • お互いに信頼できる

  • 言いたいことが言える

  • 問題を一緒に考えられる

  • 感謝や承認が自然に行き交っている

  • 失敗を責めず、協力してカバーし合える

こうした関係性が「質の高い人間関係」です。
この状態であれば、チームは高いパフォーマンスを自然と発揮します。


なぜ人間関係の質が業績に影響するのか?

①【心理的安全性が高いと、“挑戦”が生まれる】

Googleが行った「効果的なチーム」の研究でも明らかになった通り、
**心理的安全性(話しても否定されない空気感)**は、創造性とパフォーマンスを高める最も重要な要因です。

人間関係が良好で「失敗しても大丈夫」と思える環境では、スタッフはアイデアを出しやすくなり、新しい提案や改善行動が増えていきます。

②【連携ミスや無駄な確認が減る】

信頼関係があれば、余計な“保身”や“探り合い”が不要になります。

  • 「ちゃんと伝わっているかな」

  • 「あの人に確認した方がいいかな」

  • 「怒られたくないから、言わないでおこう」

こうした心理的負担が減ることで、業務スピードと正確性が上がり、生産性が向上します。

③【感情のもつれがエネルギーを奪う】

人間関係が悪いと、業務そのものよりも“気疲れ”でパフォーマンスが下がります。
本人も無意識にストレスを感じ、「やる気が出ない」「集中できない」といった状態になります。

業務とは関係ない“人間関係の不具合”が、直接的に業績を下げてしまうのです。


職場の人間関係が悪化する兆候とは?

  • あいさつが減る

  • 無言・沈黙が増える

  • チームの雑談や笑顔が消える

  • 報連相が遅くなる

  • 小さなミスやクレームが頻発する

  • 指摘が減る(=あきらめ)

これらは、すべて「人間関係の質が落ちている」サインです。
この段階で手を打てるかどうかが、組織の将来を分けます。


人間関係の質を高めるための5つの実践

1. 【日常的に“感謝と承認”を伝える文化】

「ありがとう」「助かったよ」「気づいてくれて嬉しい」
こうした言葉が自然に交わされる職場は、信頼が育ちやすくなります。

リーダー自身が率先して言葉にすることが、文化形成の第一歩です。

2. 【小さな雑談・声かけの積み重ね】

「昨日のあれ、どうだった?」「体調大丈夫?」
業務外のさりげない会話が、信頼のベースをつくります。
「話しやすい人間関係」は、日々の“ちょっとした関心”から育ちます。

3. 【意見を歓迎する仕組みと態度】

会議やミーティングで、「その考え、いいですね」と受け止められる空気をつくることで、発言しやすい雰囲気が広がります。

「まず否定しない」
「一旦受け止めてから返す」
という対話の姿勢が重要です。

4. 【定期的な1on1面談とフィードバック】

仕事の進捗だけでなく、「最近どう?」「困っていることある?」と聞くことで、
感情面での安心とつながりが生まれます。
「上司は味方である」と感じてもらえるような対話の時間が必要です。

5. 【対立や摩擦があったときの“リカバリー対応”】

人間関係において、摩擦は避けられません。
重要なのは、対立があったときに「どう仲直りするか」を組織として支援することです。

  • 当事者同士で話す機会を設ける

  • 上司が間に入って“気持ち”を整理する

  • 「どちらが悪いか」でなく、「どうしたらまた協力し合えるか」を軸に話す

こうした“関係修復の文化”があるかどうかで、組織の回復力は大きく異なります。


組織の強さは「関係性の強さ」

どれだけ優れた戦略を持っていても、
どれだけスキルが高くても、
どれだけ仕組みが整っていても、

人と人の関係性が悪ければ、組織は動きません。

逆に、多少仕組みが不完全でも、信頼と尊重がある職場なら、メンバー同士で補い合い、学び合い、成果を生み出していきます。


結論:業績は「関係性の鏡」である

売上が伸びない。改善が進まない。離職が止まらない。
その背景にあるのは、「信頼が足りない」「本音が言えない」「助け合えない」状態かもしれません。

あなたの組織では、スタッフ同士の関係はどうですか?
困ったとき、相談できる相手がいますか?
「この職場は居心地がいい」と言える空気がありますか?

関係性を見直せば、行動が変わり、行動が変われば、成果が変わる。
だからこそ、人間関係の質を高めることが、最も本質的な業績向上策なのです。

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MHアドバイザリー株式会社

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