【組織マネジメント100の考え方】#33「“人間関係の質”が業績に直結する理由」【組織マネジメント100の考え方】

― 言葉にした瞬間、組織は動き出す ―

「なんとなく違和感はあるけど、うまく説明できない」
「チームで目指す方向性が、微妙に食い違っている気がする」
「メンバーによって、理念の解釈がバラバラになっている」

こうした“もやもや”を抱えたまま進んでいる組織は少なくありません。
なぜ組織の方向性がズレていくのか? なぜうまく伝わらないのか?
その答えの多くは、「言語化の不足」にあります。

言語化とは、感覚や価値観を「誰かと共有できるカタチ」に変えること。
言葉になった瞬間、それは「伝えられる」「理解できる」「行動に変わる」力を持ちます。


言語化されていない組織のリスク

感覚的なまま、言葉にせずに進めてしまうと、以下のような問題が発生します。

1. 【認識のズレが拡大する】

「これって、こういう意味ですよね?」とスタッフが解釈していたことが、実は経営者の意図とは違っていた——
こんなことが現場では日常的に起きています。
言葉にして確認しないまま進むと、ズレがどんどん大きくなります。

2. 【行動に移せない】

理念や方針、期待が抽象的だと、メンバーは「どう動けばいいのか」が分かりません。
結果として、思考も行動も止まってしまいます。

3. 【評価や指導が感覚任せになる】

「もっと頑張って」「もう少し気をつけて」では、相手には伝わりません。
評価・指導・育成には、明確な言語が必要なのです。


言語化によって得られる3つの効果

①【共通認識が生まれる】

“理念”や“方針”が言葉として整理されていると、チーム全体が「同じ地図」を持つようになります。
結果として、判断や行動が揃い、迷いが減ります。

②【自分の考えに自信が持てる】

頭の中にある“もやもや”を言葉にできると、「自分はこう考えているんだ」と再認識できます。
これはメンバーの自律性や自信を育てるうえで非常に重要です。

③【対話と改善が進む】

言葉にされていれば、それをもとに意見を交わせます。
つまり、言語化は“組織内の対話”を活性化する起点でもあるのです。


組織に必要な「言語化」の5つの対象

  1. 理念・ビジョン:「なぜこの仕事をしているのか」「どこを目指しているのか」

  2. 行動指針:「どういう振る舞いがうちらしいのか」

  3. 評価基準:「何をもって“できている”と判断するのか」

  4. 役割・責任:「誰が、何を、どのように担っているのか」

  5. 問題意識・課題感:「今、何がうまくいっていないのか」「どう感じているのか」

これらを「なんとなく」ではなく、“誰が見てもわかる”言葉で定義することが、組織の前進に不可欠です。


言語化を組織に根付かせるためのステップ

ステップ1:まずは経営者・リーダーが言葉にする

「思い」や「感覚」を、そのまま口にするのではなく、
スタッフにも伝わるような“共通言語”に変える努力が必要です。

例:
×「ちゃんとしてほしい」→ 〇「5分前行動を徹底してほしい」
×「もっと意識を高く」→ 〇「1日1つ、改善提案を考えてほしい」

ステップ2:スタッフの言葉も引き出す

言語化はトップダウンだけでは定着しません。
むしろ、メンバー自身が「どう感じているか」「どう理解しているか」を言葉にすることで、認識のギャップが浮かび上がります。

日報や1on1、ミーティングでの発言を通じて、“言葉のキャッチボール”を増やすことが重要です。

ステップ3:言語を見える化し、繰り返し使う

一度言葉にしたら、紙やデータにまとめ、全員で共有し続けること。
たとえば:

  • 経営理念を毎朝唱和

  • 行動指針を会議の冒頭に読み上げる

  • 評価項目を壁に掲示

このように繰り返し目にする・耳にする仕掛けをつくることで、言葉は組織の“行動の軸”になります。


「うまく言えない」は、行動を止めてしまう

感覚を言語に変えることは簡単ではありません。
しかし、「うまく言えない」状態では、相手に伝わらず、行動も生まれません。
逆に、「言えるようになる」ことで、初めて“共有”と“行動”が始まります。

「言葉にならないけど、大切にしたいことがある」
それを見つけ、定義し、伝えることが、組織の前進力になります。


結論:言葉にすることで、組織は一歩進む

人も、組織も、「分かっているつもり」で動くと迷います。
でも、「言葉で伝わっている」状態であれば、誰もが同じ方向に進めるようになります。

あなたの組織では:

  • 理念やビジョンが言葉として浸透していますか?

  • メンバーの認識は、すれ違っていませんか?

  • 感覚的な問題が、言葉にされて共有されていますか?

言語化は、思いの見える化。
見えるから、動ける。動けるから、変われる。

言葉にすることで、組織は必ず前に進みます。

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MHアドバイザリー株式会社

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