【組織マネジメント100の考え方】#41「“採用”はマーケティングであり、“見せ方”」

― 「採用できない」のではなく、「選ばれていない」だけ ―

「求人を出しても応募が集まらない」
「面接までは来るが、内定を出しても辞退される」
「ようやく採用できたと思ったら、すぐに辞めてしまう」

こうした採用に関する悩みは、業種・規模を問わず、多くの組織で共通しています。
ですが、この問題の本質は、「いい人がいない」ことではありません。
本当の問題は、「自社の魅力を伝えきれていない」ことにあります。

採用とは、「相手から選ばれる活動」であり、まさにマーケティングそのものです。
商品を売るのと同じように、「どんな魅力があるのか」「なぜ選ばれるべきか」「他との違いは何か」を、見せ方で勝負する時代なのです。


なぜ「採用=マーケティング」なのか?

採用活動とは、求職者という“顧客”に対して、自社という“商品”を売り込む行為です。

  • ターゲット(求職者)のニーズを捉える

  • 自社の強み(USP)を明確にする

  • メッセージを分かりやすく伝える

  • 他社との差別化を図る

  • 「この会社に行きたい」と思わせる導線を設計する

これらは、まさにマーケティングそのもの。
採用成功の鍵は、“見せ方の設計”にあるのです。


採用がうまくいかない組織の共通点

1. 求人票の内容が“どこにでもある言葉”で埋まっている

「アットホームな職場です」「やる気のある方歓迎」——このような表現では、何も伝わりません。
具体性がなく、どの企業も似たような言葉を並べているため、比較される以前に、スルーされます。

2. 自社の“強み”が抽象的、もしくは自覚されていない

「地域密着」「歴史がある」「成長できる」——こうした言葉も、求職者にとっては漠然としすぎています。
具体的なエピソードや数字、ストーリーがなければ、魅力として伝わりません。

3. ターゲット設定が曖昧

「誰でもいい」採用は、結局「誰にも刺さらない」メッセージになります。
「誰に」「なぜ来てほしいか」を定めていない限り、響く言葉は作れません。


採用をマーケティングとして成功させる5つのステップ

ステップ1:ターゲットを“絞る”

誰に来てほしいのかを明確にします。

  • 新卒か中途か?

  • 経験者か未経験者か?

  • 地域にこだわるか?

  • 働き方重視か成長重視か?

ペルソナ(理想の人物像)を設計することで、発信の軸がブレなくなります。

ステップ2:魅力を“言語化”する

「給与が高い」「福利厚生が充実」だけでは、差別化になりません。

  • 他社より優れている点

  • 職場の雰囲気を物語るエピソード

  • 実際に働いている人の声

  • 成長実感を得られる制度や文化

これらを“具体的なストーリー”として伝えることが重要です。

ステップ3:“応募したくなる見せ方”を設計する

求職者は「この会社で働くとどんな未来が待っているか?」を見ています。

  • 写真・動画で職場を見せる

  • 一日の仕事の流れを紹介

  • 社員インタビューを掲載

  • SNSやブログで日常を発信

「自分が働く姿をイメージできるコンテンツ」が必要です。

ステップ4:接点の設計と導線の最適化

求人媒体だけでなく、自社ホームページ、SNS、口コミ、説明会など、複数のチャネルで“接点”をつくることが重要です。

さらに:

  • 応募から面接までの流れをスムーズにする

  • 問い合わせへの対応をスピーディにする

  • 内定後のフォロー体制を整える

ここでの“体験”が、そのまま「企業の印象」となります。

ステップ5:現場と採用担当が連携する

現場の魅力を一番知っているのは、現場で働くスタッフです。
採用担当と現場が協力し、リアルな情報をコンテンツ化することで、説得力が増します。

また、採用した後の受け入れ体制が整っていないと、早期離職に繋がってしまいます。
採用から定着までを“ひとつの体験”として設計することが不可欠です。


成功している採用は、「物語」を伝えている

「働く意義を感じられる」
「この職場で成長している人がいる」
「誰と働くのかが明確にわかる」

こうした“共感と期待”のストーリーを伝える採用活動は、人を惹きつけ、行動を促します。
逆に、条件だけの“スペック型求人”は、比較されやすく、価格競争に陥りがちです。

採用とは、「この職場で働く意味」に共感してもらうプロセスなのです。


結論:採用力とは、“魅力を設計する力”である

「人が集まらない」のではありません。
「人が集まりたくなる“魅せ方”ができていない」だけなのです。

  • 誰に来てほしいか?

  • なぜ選ばれるべきか?

  • どんな未来が用意されているか?

それを、戦略的に、魅力的に、誠実に伝えること。
それが“採用マーケティング”の本質であり、これからの時代に必須の考え方です。

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MHアドバイザリー株式会社

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