【組織マネジメント100の考え方】#44「“ミドルマネジメント”が組織のボトルネックになる理由」

― 真ん中が詰まると、上も下も動かなくなる ―

「上層部の意図が現場に伝わらない」
「中間管理職が受け身で、変革が進まない」
「現場からの不満は多いが、提案や改善行動が出てこない」

こうした組織の“動きの鈍さ”の背景には、しばしばミドルマネジメント(中間管理職)層の機能不全が潜んでいます。
経営者でもなく、現場プレイヤーでもない“真ん中”の役割。
ここがうまく機能していないと、組織全体の風通しやスピードが低下し、あらゆる問題が“停滞”として現れてきます。


なぜ“中間層”がボトルネックになりやすいのか?

1. 【役割が曖昧で、どちらの顔も立てなければならない】

ミドルは「経営の代弁者」でありながら、「現場の代弁者」でもあります。
その結果、


  • 上の方針に疑問があっても言えない



  • 現場の意見に共感しつつ、変化を促さなければならない
    という板挟み構造に苦しみ、“無難な調整”しかできない存在になってしまいます。


2. 【プレイヤー業務とマネジメントが混在している】

多くの組織では、課長やリーダーが「現場のエース」のまま昇格しているため、


  • 手が足りないから自分で動いてしまう



  • メンバーのフォローで手一杯



  • 肝心の“考える時間”が取れない


という状態に陥り、“リーダーシップ不在”の現場が生まれます。

3. 【育成される機会が少なく、迷い続けている】

経営層向けの研修や施策はあっても、ミドルに向けたサポートは少ないのが実情です。
「どうやってチームをまとめればいいか」
「どう部下と向き合えばいいか」
誰にも教わらず、“自己流”で日々苦戦している状態なのです。


ミドルマネジメントが詰まると、組織に何が起きるか?


  • 経営のビジョンや方針が現場に伝わらない



  • 改善提案が止まり、変化が遅くなる



  • 現場の声が経営に届かないため、方針とのズレが拡大



  • メンバーは「何を大事にしているのか」が分からず迷走



  • 組織に不信感やあきらめが蓄積する


つまり、ミドル層が“翻訳者”として機能していないと、組織の情報と意志が流れなくなるのです。


機能するミドルマネジメントの特徴


  1. 経営の意図を“現場の言葉”に翻訳できる



  2. 現場の声を“構造的な課題”として整理し、上に提案できる



  3. 数値・業務・感情をバランスよく見られる



  4. 「育てるマネジメント」ができる(指示でなく支援)



  5. 上司とも部下とも“対話”できる信頼関係がある


このように、ミドルが“流通のハブ”として動けていれば、組織全体のスピードと質が格段に高まります。


ミドルマネジメントの力を引き出す5つの仕組み

1. 【役割の再定義】


  • プレイヤーではなく、“チームを機能させる人”



  • 上の代弁者ではなく、“現場の声を翻訳する人”



  • 評価する人ではなく、“成長を支援する人”


肩書きや業務だけでなく、“何に責任を持つのか”を明確に伝えることで、動き方が変わります。

2. 【定期的な“ミドル向け研修”の実施】


  • 目標設定の仕方



  • 部下との1on1の技術



  • チームビルディングと関係性構築



  • 方針と現場のギャップ調整法


こうした実務に直結するスキルを学ぶことで、ミドル層の“自信と武器”が手に入ります。

3. 【ミドル同士の“対話の場”をつくる】

「孤立」ほど、ミドルにとって危険な状態はありません。
他部署のマネージャー同士で悩みや事例を共有することで、“悩んでいるのは自分だけじゃない”という安心感と、具体的なヒントが得られます。

4. 【経営とミドルをつなぐ“対話の場”を設計】

経営側と現場の情報・感覚ギャップを埋めるには、「意見を言っていい場」が必要です。


  • 月1回の経営層との共有会



  • 経営方針についての意見交換会



  • 「提案したことがどう扱われたか」を伝えるフィードバックの仕組み


これにより、“経営に参加している実感”がミドルの当事者意識を高めます。

5. 【評価制度に“マネジメントの質”を反映する】

成果だけでなく、


  • チームの雰囲気



  • 離職率



  • 部下の成長支援度合い
    などを指標に加えることで、「部下を育てることは自分の評価に直結する」という意識づけができます。



結論:“中間が強い組織”は、変化に強い組織

組織が変化し、進化していくには、経営層のリーダーシップだけでなく、
現場と経営をつなぐ“ミドルのマネジメント力”が必要不可欠です。

あなたの組織では:


  • ミドル層が役割を理解し、動ける状態にありますか?



  • 教える・育てる・伝える力を支援する仕組みがありますか?



  • ミドル同士が“つながって”いますか? 孤立していませんか?


ミドルが変われば、現場が変わり、現場が変われば、経営は実行されます。
真ん中の再設計が、組織の再活性化の起点になるのです。

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MHアドバイザリー株式会社

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