【組織マネジメント100の考え方】#45「“理念共感型組織”は変化に強い」

― 価値観を共有する組織は、何があってもブレない ―

「最近、メンバーがどこか受け身になっている」
「施策を打っても、浸透せずに終わってしまう」
「会社としての方向性に、現場がついてこない」

このような課題に直面しているとき、必要なのは戦略でも仕組みでもありません。
本質的に問うべきは、「この組織は、なぜ存在しているのか?」という“理念の力”です。

理念とは、単なるスローガンではありません。
組織にとっての「なぜ」を明らかにし、すべての行動に意味を与える“心の軸”です。
そしてこの軸がチーム内で共有されていればいるほど、変化に強く、ブレない組織になります。


なぜ“理念共感型”の組織が強いのか?

1. 【判断のスピードと一貫性が上がる】

理念に共感しているメンバーは、「これは会社の価値観に沿っているか?」を基準に自ら判断できます。
いちいち指示を仰ぐ必要がなく、現場での即断即決が可能になります。

2. 【困難な局面でも団結できる】

理念が明確で、日頃から共感されていれば、
困難に直面したときでも「なぜ自分たちはここにいるのか」に立ち返れます。
これは、一時的な混乱や不安に流されない精神的な強さを生みます。

3. 【自発的な改善や提案が増える】

理念に共感している人材は、「与えられた仕事をこなす人」ではなく、
「組織の目的を実現するために、自ら考えて動く人」になります。
つまり、共感が行動の起点になるのです。


「理念共感型組織」が持つ3つの基盤

①【理念が“言葉”として明確である】

抽象的すぎる理念は、誰にも響きません。

  • 「患者に寄り添う」ではなく、「すべての診療で“また来たい”をつくる」
  • 「社会に貢献する」ではなく、「◯◯という行動を通じて、△△を実現する」

誰が見ても「うちってこういう会社だよね」と言える、具体性ある言語化が必要です。

②【理念が“行動基準”になっている】

  • 採用時に「この理念に共感できるか?」を重視
  • 評価に「理念に基づく行動」が含まれている
  • 会議や面談で、理念が自然に出てくる会話がある

このように、“理念が使われているかどうか”が重要です。
掲げてあるだけでは、ただの装飾にすぎません。

③【理念が“リーダー自身の言葉”で語られている】

「会社としての理念」ではなく、「私自身がこの理念に共感している」という言葉が、
リーダー自身の行動や振る舞いからにじみ出ているか。
これが、理念への共感を波及させる最大のポイントです。


理念共感を高めるための5つのアプローチ

1. 【理念の背景やストーリーを語る】

ただ理念の文言を伝えるのではなく、

  • なぜその理念を掲げたのか
  • どんな想いから生まれたのか
  • どんなエピソードが根っこにあるのか

を語ることで、共感の“感情の回路”が開かれます。

2. 【理念に合致した行動を“可視化”する】

「理念に沿ったすばらしい行動」を発見し、全体に共有することで、

  • 理念が実際の行動にどうつながるか
  • どんなふるまいが称賛されるのか

が明確になります。
たとえば:

  • 「理念大賞」などの表彰
  • 朝礼での理念エピソード紹介

3. 【日常業務と理念を結びつける会話を意識】

  • 「この取り組みって、うちの理念にどうつながってる?」
  • 「この判断、うちの理念に照らすとどうだろう?」
    という問いかけを通じて、理念を“判断軸”として自然に活用していきます。

4. 【“違和感”を感じたときに理念に立ち返る】

  • 方針に納得できない
  • チームの雰囲気が乱れている
    そんなときこそ、「うちの理念って、なんだっけ?」と立ち返ることで、
    原点回帰と軌道修正ができるのです。

5. 【理念共感を採用と育成の基準にする】

  • 採用面接では「理念に共感しているか?」を確認
  • 研修では「理念に基づく判断」を体験させる
  • 定期面談では「理念との距離感」を確認する

理念は、“定着”させるものではなく“育てていくもの”。
だからこそ、日々の中で磨き、問い直す姿勢が必要です。


結論:“共感”が組織を進化させるエンジンになる

「理念を掲げた」だけでは組織は変わりません。
「理念に共感する人が集まり、行動し、それを支援する仕組みがある」ことで、
初めて“理念共感型組織”が機能します。

あなたの組織では:

  • 理念が明確に言葉になっていますか?
  • その理念は、行動と評価に結びついていますか?
  • メンバーは、「ここにいる意味」を語れますか?

変化の激しい時代において、拠り所になるのは“理念”という不変の軸です。
共感によってつながる組織は、どんな変化にも、しなやかに対応できるのです。

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MHアドバイザリー株式会社

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