【組織マネジメント100の考え方】#47「“変化できる組織”をつくるのは、“問い”の質である」

― 答えよりも、問いが組織を動かす ―

「このままでいいのかと感じているが、何を変えればよいか分からない」
「現場に改善提案を求めても、出てこない」
「考えて動ける人材が育っていない気がする」

こうした悩みを抱える組織には、共通して“あるもの”が不足しています。
それは、「問い」です。

現代の組織において最も大きな武器は、正しい答えではありません。
本質を突く“問い”を立てられるかどうか。
それが、組織の思考を刺激し、変化を生む原動力になります。

なぜ“問い”が組織を動かすのか?

  1. 【問いは、思考を促すスイッチである】

人は、質問をされることで「考えよう」とします。
一方的に答えを与えられるだけでは、受動的なまま。
問いかけられることで、はじめて“自分ごと”として捉え始めるのです。

  1. 【問いは、対話の質を深める】

良い問いがある場では、自然と本音や気づきが引き出され、

問題の背景を考える

価値観を共有する

次のアクションを設計する
といった、対話を通じた“共創”が生まれます。

  1. 【問いは、組織文化をつくる】

「なぜこうなっているのか?」
「私たちは何を大切にしているのか?」
という問いが日常にある組織は、“思考し続ける文化”を持ちます。
これは、変化に適応し、自ら進化していける組織の土台です。

組織の“問いの質”が低いとどうなるか?

上司が指示しかしないため、部下は考えなくなる

会議で「現状報告」しか行われない

「なぜそれをやるのか」が曖昧なまま仕事が進む

ミスや問題の“再発防止”ではなく“犯人探し”になる

改善よりも“現状維持”が当たり前になる

このような組織では、変化のスピードも質も著しく低下します。

良い問いを持つ組織に現れる5つの変化

自分で考えて動く人が増える

課題に対する“本質的な議論”が生まれる

立場を超えて、協働が始まる

チャレンジが推奨され、失敗から学ぶ文化が育つ

変化に柔軟かつ前向きに対応できる組織になる

つまり、「問い」は“組織のOS”を更新する力を持っているのです。

組織を変える“問い”の種類と例

【自己認識を高める問い】

今、自分の強みをどう活かしている?

最近、一番やりがいを感じた瞬間は?

この半年で、自分が成長したと感じたのはどんなとき?

→ 自分自身への“気づき”を促す問い

【業務改善を促す問い】

このプロセス、本当に必要か?

ムダを生んでいるのは、どの部分?

顧客の視点から見て、これは価値があるか?

→ 仕組みや行動を見直すきっかけになる問い

【チームの関係性を深める問い】

このチームらしさって、どんなところ?

困ったとき、誰に相談できる?

最近、仲間に感謝したことは?

→ 心理的安全性と信頼を高める問い

【組織の未来を描く問い】

5年後、どうなっていたい?

“今やっていないけれど、やるべきこと”は何?

社会にとって、私たちの存在意義は?

→ ビジョンや戦略を自分ごとにする問い

「問いのある組織」をつくるための5つの実践

  1. 【問いを“習慣化”する】

朝礼で「今日考えてみてほしい問い」を出す

会議の冒頭で「今日のテーマに対する問い」を提示

日報に「今日の気づき・問い」を書く欄を設ける

問いを“思考の入口”として組み込む仕掛けが必要です。

  1. 【リーダー自身が“問いを立てる姿勢”を見せる】

「皆さんはどう思う?」と意見を引き出す

「なぜそう感じたのか?」と掘り下げる

「本当にそれでよいのか?」と再確認する

リーダーが問い続ける姿勢が、部下の思考の深さを育てます。

  1. 【問いを“共有財産”にする】

チームで出た良い問いをホワイトボードやチャットに残す

過去に出た問いと、そこからの学びをまとめておく

「これは深い問いだった」と称賛する文化をつくる

問いを“記録”し、“活用”することで、組織の知性が蓄積されます。

  1. 【“正解を求めない”対話の場をつくる】

正解よりも「どんな視点があるか?」を問う会議

アイデア出しに“問いブレスト”を取り入れる

「問い合うだけ」の時間を定期的に設ける

答えを出すことを急がず、「問いそのものに価値がある」と捉える姿勢が重要です。

  1. 【問いを評価制度に組み込む】

自分なりの問いを立て、共有する

課題提案の中で“どんな問いを立てたか”を評価

チームで出た“良い問い”を称える仕組みをつくる

「問いを立てられる人」が評価されることで、組織全体の視座が上がります。

結論:“答え”より“問い”が組織を変える

今の時代において、「正解」はすぐに変わります。
それよりも、「問い続ける力」がある組織こそが、柔軟に、しなやかに、進化し続けられるのです。

あなたの組織では:

日常的に“問い”が飛び交っていますか?

問いを歓迎する空気がありますか?

リーダー自身が「問いの言葉」を持っていますか?

“問いのある組織”は、未来に強い。
問いがあるところに、学びがあり、成長があり、変化があるのです。