― 答えよりも、問いが組織を動かす ―
「このままでいいのかと感じているが、何を変えればよいか分からない」
「現場に改善提案を求めても、出てこない」
「考えて動ける人材が育っていない気がする」
こうした悩みを抱える組織には、共通して“あるもの”が不足しています。
それは、「問い」です。
現代の組織において最も大きな武器は、正しい答えではありません。
本質を突く“問い”を立てられるかどうか。
それが、組織の思考を刺激し、変化を生む原動力になります。
なぜ“問い”が組織を動かすのか?
- 【問いは、思考を促すスイッチである】
人は、質問をされることで「考えよう」とします。
一方的に答えを与えられるだけでは、受動的なまま。
問いかけられることで、はじめて“自分ごと”として捉え始めるのです。
- 【問いは、対話の質を深める】
良い問いがある場では、自然と本音や気づきが引き出され、
問題の背景を考える
価値観を共有する
次のアクションを設計する
といった、対話を通じた“共創”が生まれます。
- 【問いは、組織文化をつくる】
「なぜこうなっているのか?」
「私たちは何を大切にしているのか?」
という問いが日常にある組織は、“思考し続ける文化”を持ちます。
これは、変化に適応し、自ら進化していける組織の土台です。
組織の“問いの質”が低いとどうなるか?
上司が指示しかしないため、部下は考えなくなる
会議で「現状報告」しか行われない
「なぜそれをやるのか」が曖昧なまま仕事が進む
ミスや問題の“再発防止”ではなく“犯人探し”になる
改善よりも“現状維持”が当たり前になる
このような組織では、変化のスピードも質も著しく低下します。
良い問いを持つ組織に現れる5つの変化
自分で考えて動く人が増える
課題に対する“本質的な議論”が生まれる
立場を超えて、協働が始まる
チャレンジが推奨され、失敗から学ぶ文化が育つ
変化に柔軟かつ前向きに対応できる組織になる
つまり、「問い」は“組織のOS”を更新する力を持っているのです。
組織を変える“問い”の種類と例
【自己認識を高める問い】
今、自分の強みをどう活かしている?
最近、一番やりがいを感じた瞬間は?
この半年で、自分が成長したと感じたのはどんなとき?
→ 自分自身への“気づき”を促す問い
【業務改善を促す問い】
このプロセス、本当に必要か?
ムダを生んでいるのは、どの部分?
顧客の視点から見て、これは価値があるか?
→ 仕組みや行動を見直すきっかけになる問い
【チームの関係性を深める問い】
このチームらしさって、どんなところ?
困ったとき、誰に相談できる?
最近、仲間に感謝したことは?
→ 心理的安全性と信頼を高める問い
【組織の未来を描く問い】
5年後、どうなっていたい?
“今やっていないけれど、やるべきこと”は何?
社会にとって、私たちの存在意義は?
→ ビジョンや戦略を自分ごとにする問い
「問いのある組織」をつくるための5つの実践
- 【問いを“習慣化”する】
朝礼で「今日考えてみてほしい問い」を出す
会議の冒頭で「今日のテーマに対する問い」を提示
日報に「今日の気づき・問い」を書く欄を設ける
問いを“思考の入口”として組み込む仕掛けが必要です。
- 【リーダー自身が“問いを立てる姿勢”を見せる】
「皆さんはどう思う?」と意見を引き出す
「なぜそう感じたのか?」と掘り下げる
「本当にそれでよいのか?」と再確認する
リーダーが問い続ける姿勢が、部下の思考の深さを育てます。
- 【問いを“共有財産”にする】
チームで出た良い問いをホワイトボードやチャットに残す
過去に出た問いと、そこからの学びをまとめておく
「これは深い問いだった」と称賛する文化をつくる
問いを“記録”し、“活用”することで、組織の知性が蓄積されます。
- 【“正解を求めない”対話の場をつくる】
正解よりも「どんな視点があるか?」を問う会議
アイデア出しに“問いブレスト”を取り入れる
「問い合うだけ」の時間を定期的に設ける
答えを出すことを急がず、「問いそのものに価値がある」と捉える姿勢が重要です。
- 【問いを評価制度に組み込む】
自分なりの問いを立て、共有する
課題提案の中で“どんな問いを立てたか”を評価
チームで出た“良い問い”を称える仕組みをつくる
「問いを立てられる人」が評価されることで、組織全体の視座が上がります。
結論:“答え”より“問い”が組織を変える
今の時代において、「正解」はすぐに変わります。
それよりも、「問い続ける力」がある組織こそが、柔軟に、しなやかに、進化し続けられるのです。
あなたの組織では:
日常的に“問い”が飛び交っていますか?
問いを歓迎する空気がありますか?
リーダー自身が「問いの言葉」を持っていますか?
“問いのある組織”は、未来に強い。
問いがあるところに、学びがあり、成長があり、変化があるのです。