【組織マネジメント100の考え方】#48「“全員マネジメント”の意識が、チームの主語を変える」

― 「あなた任せ」から「わたしたちの責任」へ ―

「リーダーがいないとチームが止まる」
「困っていても誰も手を貸さない」
「現場が“他人事”で動かない」

このような組織では、常に管理職や特定のメンバーに負荷が集中し、思うように機能しません。
原因の多くは、「マネジメントは一部の人がやるもの」という誤解にあります。

組織が本当に強くなるために必要なのは、“全員マネジメント”の発想です。
つまり、「チームの成果を自分ごととして捉え、支え合い、動く文化」を築くこと。
この“主語の変化”が、チームの質を根本から変えていきます。

なぜ“マネジメントは全員の仕事”なのか?

  1. 【組織の中には“役職がないマネージャー”がたくさんいる】

新人に声をかけて気遣う人

困っている同僚にアドバイスする人

チームの空気をよくしようとする人

こうした“日常のマネジメント行動”は、役職とは関係ありません。
マネジメントとは、肩書きではなく“意識と行動”なのです。

  1. 【多様な視点と力が、組織を前進させる】

リーダー一人で全ての状況を把握し、的確に判断するのは不可能です。
むしろ、現場の当事者だからこそ気づけること、対応できることが多くあります。
全員が“部分の責任者”として動くことで、チーム全体が柔軟に機能します。

  1. 【“自分がやるべきか?”ではなく“自分ができることは?”の発想が必要】

「それ、上司の仕事でしょ」

「私は指示されてないから」

「やりたいけど、役割じゃないから」

こうした発言が多い職場では、責任が“誰かのもの”になり、行動が止まります。
“自分がこの組織の一員として何ができるか?”という主語の変化が、行動の質を変えるのです。

“全員マネジメント”が育つ組織に現れる変化

問題が起きても“自分ごと”として解決に動く人が増える

チームの目標に対する主体性が高まる

上司に頼りすぎず、現場での判断力が育つ

意見や提案が活発になり、対話の質が深まる

助け合いの空気が自然に生まれる

これらは、「自分は関係ない」ではなく「自分が関わる」組織文化の中で育まれます。

“全員マネジメント”を育てる5つのアプローチ

  1. 【「関係の責任」を伝える】

マネジメントは“行動”だけでなく“関係性”にも及びます。

チームメンバーの関係をよくする責任

雰囲気を整える責任

対話の機会をつくる責任

「自分には関係ない」ではなく、「関係に参加している限り、責任がある」という意識を共有します。

  1. 【“役職に関係なくリーダーシップをとる”機会を与える】

プロジェクト単位で“担当リーダー”を設定

新人のフォローを任せる

会議のファシリテーターをローテーションする

肩書きの有無に関わらず、“場に対する責任”を体験することで、自然とマネジメント意識が育ちます。

  1. 【「気づいた人が動く」文化をつくる】

「気づいたら声をかける」

「改善点を見つけたら、提案する」

「困っている人を放っておかない」

こうした行動を“称賛”し、“仕組み化”することで、組織全体に“見る・動く”習慣が根づきます。

  1. 【上司が“マネジメントを委ねる”勇気を持つ】

任せてみる

フィードバックを与える

小さな成功を一緒に喜ぶ

上司が「自分が全部やらねば」と抱え込まず、“マネジメントの一部を開放”することが、全員マネジメントの起点になります。

  1. 【評価や承認に“マネジメント行動”を含める】

チームへの貢献

他者への支援やフォロー

関係性づくりの姿勢

こうした行動を見逃さず評価することで、「やる意味」が生まれ、行動が習慣に変わります。

「主語の変化」がチームを変える

「誰が悪いか?」から「自分にできることは?」へ

「上が決めるから」から「私たちで考えよう」へ

「任されたからやる」から「やりたいからやる」へ

この“主語の変化”が起きたとき、チームは飛躍的に動き出します。
それを支えるのが、“全員マネジメント”という文化です。

結論:“一部のリーダー”ではなく、“全員が支えるチーム”へ

マネジメントを“職位”から“意識と行動”へと捉え直すことで、組織の可能性は大きく広がります。
その第一歩は、「自分には関係ない」を組織からなくすこと。

あなたのチームでは:

役職者以外が“場を支える行動”を取っていますか?

「これは自分の仕事じゃない」という空気がありませんか?

チームの成果に対する“全員の責任感”は、育っていますか?

“全員が主語になる組織”は、強く、しなやかで、成長し続けます。
マネジメントは、リーダーだけのものではありません。
それは、チームで育てていく“意識の文化”なのです。