【組織マネジメント100の考え方】#26「“リーダー育成”はポジションより“自覚”を育てること」

― 役職ではなく、“意識”がリーダーをつくる ―

「チームをまとめるリーダーがなかなか育たない」
「肩書を与えたのに、自覚がないままの状態が続いている」
「責任を持たせても、受け止めきれずに戸惑っている」

組織が成長していく中で避けて通れないのが、“リーダーの育成”です。
しかし、役職を与えただけでリーダーが育つわけではありません。
重要なのは、「リーダーとしてのポジション」ではなく、「リーダーとしての意識=自覚」を持てるようにすることです。

リーダー育成とは、“指名”ではなく“覚悟”を育てること。
本記事では、「自覚を持ったリーダー」を育てるために必要な考え方と実践方法をお伝えします。


「リーダー=管理職」ではない

よくある誤解として、「リーダー=役職者」「チームリーダー=中間管理職」という認識がありますが、実は本質はそこではありません。

リーダーとは、“誰かに影響を与え、チームを前に進める人”のこと。
つまり、肩書きがなくても、周囲に良い影響を与えている人はすでにリーダーなのです。

逆に、肩書きだけ与えられた人が「ただの連絡係」になってしまっている組織も少なくありません。
だからこそ、「自分がチームにとってどうあるべきか」という“リーダーの自覚”が育っていなければ、役職を与えても機能しないのです。


なぜ「リーダーの自覚」が必要なのか?

① チームに“判断の軸”が生まれる

リーダーが「自分の役割は、チームを正しい方向に導くこと」と自覚することで、日々の業務判断にも一貫性が生まれます。
「この対応で本当にチームは良くなるか?」という視点が持てるようになるのです。

② 他責ではなく、自責のマインドになる

自覚のあるリーダーは、「部下が動かない」のではなく、「自分がどう伝えたか」「どう関わったか」を振り返ります。
責任を他人に押しつけず、自らの行動に変化を起こそうとする姿勢が、チームの空気を変えます。

③ 部下への影響力が高まる

「この人の言葉には重みがある」「信じてついていける」と思われるリーダーは、自分の言動が周囲にどう影響を与えるかを意識しています。
つまり、“自覚”こそが“信頼”につながるのです。


自覚を持ったリーダーを育てる4つの実践ステップ

1. 【役割と期待を“言語化”して伝える】

「リーダーお願いね」だけでは、何をすればいいのか分かりません。
まずは、明確に「あなたに何を期待しているのか」を伝えること。

例:

  • チーム内の情報共有を主導してほしい

  • 後輩指導の土台をつくってほしい

  • 困っているスタッフを見つけて、声をかけてあげてほしい

役割が明確になることで、「自分が担うべき責任」が自覚され始めます。

2. 【“見本となる行動”を示す】

リーダーの自覚は、“背中を見て育つ”ことが多いものです。
上司が「自分の言動が周囲に与える影響」を常に意識して行動することで、
「リーダーってこういうふるまいをするんだな」という感覚が育ちます。

自覚を伝えるのではなく、“自覚を持っている人の在り方”を見せることが、最も効果的です。

3. 【振り返りの習慣を持たせる】

「なぜこの判断をしたのか?」「あの場面ではどうすればよかったか?」
こうした問いかけを通じて、自分の判断と行動を内省する機会を与えることが、自覚を深めるためには不可欠です。

定期的な1on1や、リーダー同士のディスカッションなども有効です。

4. 【“任せる”ことで成長を促す】

最後に、自覚を育てる最大の手段は、“信じて任せる”ことです。

  • 大事なプロジェクトの取りまとめ

  • 新人教育の初期設計

  • 会議のファシリテーション役

「これはあなたにしか任せられない」と伝えることで、「自分が責任を持つ立場なんだ」という意識が芽生え、行動も変わっていきます。


「自覚」が生まれると、組織が変わる

自覚を持ったリーダーが現れると、組織には以下のような変化が生まれます:

  • 部下が安心して相談できる空気が生まれる

  • チーム内での“問題の共有”が早くなる

  • 指示を待つのではなく、“動き出す”人が増える

  • リーダー同士の連携が強まり、経営層の負担が減る

このように、“役割意識”が芽生えた瞬間から、組織の行動は変わり始めるのです。


結論:リーダーは「育てる」のではなく「気づかせる」

リーダーとは、教えて育てるのではなく、“気づきによって目覚めていく”ものです。
「自分がどうあるべきか」に気づいたとき、人は自ら学び、動き、変わろうとします。

だからこそ、リーダー育成に必要なのは:

  • 明確な期待の言語化

  • 良き見本の存在

  • 内省の機会

  • 「任せる」勇気

そして何より、「あなたを信じている」というメッセージです。

肩書きよりも、役割よりも、まずは“自覚”を育てること。
それが、組織を前に進めるリーダーを生み出す最初の一歩になるのです。

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