【組織マネジメント100の考え方】#40「“数字に強い現場”は、改善のスピードが速い」

― 感覚ではなく、根拠で動く組織が伸びる ―

「現場が数字を理解していない」
「成果が出ていない理由を“なんとなく”で語っている」
「会議で感情的な意見が飛び交い、結局何も決まらない」

このような悩みを抱えるリーダーは少なくありません。
現場力の差は、しばしば「数字に強いかどうか」で明確に表れます。
数字に強い組織は、改善のスピードが圧倒的に速い。
なぜなら、感覚や勘ではなく、“事実”に基づいて動けるからです。


「数字に強い現場」とはどういう状態か?

単に“電卓を叩ける”“計算ができる”という意味ではありません。
数字を使って現状を把握し、課題を発見し、改善策を導き出す力がある状態のことを指します。

  • 自分の行動がどんな数値に影響を与えているかを理解している

  • 数値の変化に気づき、意味を読み取れる

  • 数字に基づいて行動や優先順位を判断できる

こうした“数字との向き合い方”ができる現場は、無駄な議論が少なく、行動が速く、改善が連鎖していきます。


なぜ「数字に強い現場」は改善が速いのか?

①【現状把握が速い】

「売上が下がっている」「離職率が高い」といった問題を、感覚ではなく数字で捉えることで、誰の目にも明らかな事実として共通認識が生まれます。
それにより、「何が問題か?」を短時間で合意できるのです。

②【原因の仮説が立てやすい】

数字を分解して見ていくことで、具体的な原因にたどり着けます。

例:

  • 売上減少 → 客数減? 単価減? 回数減?

  • 離職率上昇 → 入社後〇ヶ月以内が多い? 特定部署に偏っている?

感覚的な議論に頼らず、「どの数字が変わったのか」に注目することで、対策の精度が一気に上がります。

③【改善効果を検証できる】

施策を打ったあと、その結果が数値にどう現れたかを検証できることで、「次にどうするか」の判断が速くなります。
行動 → 結果 → 学び →改善のサイクルが加速するのです。


数字に弱い現場で起きている問題

  • 「なんとなくうまくいっていない」状態が続く

  • 議論が主観的・感情的になりやすい

  • 成果の良し悪しが曖昧で、努力が報われにくい

  • 問題の本質を見失い、対症療法ばかりになる

  • 「思いつきの改善」が繰り返される

これらはすべて、“数字を使って考える力”が不足していることに起因しています。


「数字に強い現場」をつくるための5つの実践

1. 【基本の“見える化”を徹底する】

まずは「何の数字を見るのか」「どこに表示するか」を明確に。

  • 日報や週報にKPIを入れる

  • 売上、成約率、離脱率などをホワイトボードに掲示

  • 定期ミーティングで数字の振り返りをルーティン化

「数字を見ること」を“空気”にすることで、現場の意識が変わります。

2. 【数字の“意味”を言葉で伝える】

ただ数字を見せるだけでは意味がありません。
それが“なぜ大事なのか”“どう影響しているのか”を伝えることが重要です。

例:

  • 「キャンセル率が2%増えると、月間○万円の損失です」

  • 「初診から再来までの間隔が1週間空くと、成約率が落ちます」

数字は“現象”を示し、言葉が“意味”を伝えます。

3. 【現場と一緒に数値をつくる】

目標やKPIを一方的に与えるのではなく、「一緒に数字をつくる」ことで主体性が高まります。

  • 「この数字を目指すには、どうすればいい?」

  • 「今、どの数字を改善したいと思う?」

自分で考えた数字には、責任と納得感が生まれます。

4. 【成果だけでなく“行動の数字”も追う】

結果だけを追っていると、「なぜダメだったか」がわかりません。
行動に関する数字も管理することで、改善の手がかりが得られます。

例:

  • 電話件数、接客回数、提案率

  • 研修受講率、報告書の提出率など

行動の数字は、“努力の質”を可視化するレンズです。

5. 【成功と失敗を“数字で語る文化”をつくる】

「良かった・悪かった」だけで終わるのではなく、

  • 「何がどう変わったのか?」

  • 「その数字の背景には何があったのか?」

を数字とともに語る習慣をつけることで、現場の改善力は格段に向上します。


数字を使えるようになると、現場が変わる

  • 「勘」ではなく「根拠」で動ける

  • 「思いつき」ではなく「仮説」に基づいて議論できる

  • 「なんとなく不調」が「この数字が変だから」と特定できる

  • 「頑張っているつもり」が「行動量の変化」として見える

つまり、数字は“改善のレンズ”であり、“共通言語”であり、“行動のエンジン”なのです。


結論:数字に強い組織は、成長のスピードが違う

数字を味方にすることで、現場は“自律的に考える力”を手に入れます。
「上から言われたから動く」のではなく、「数字を見て、自分たちで気づいて動く」チームに変わっていくのです。

あなたの現場では:

  • 数字が見える化されていますか?

  • その数字の意味が全員に伝わっていますか?

  • 数字に対する“行動”が日々起きていますか?

数字は、冷たいものではありません。
むしろ、「現場に考える力を与える、最も温かいマネジメントツール」です。

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MHアドバイザリー株式会社

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