― 「あなた任せ」から「わたしたちの責任」へ ―
「リーダーがいないとチームが止まる」
「困っていても誰も手を貸さない」
「現場が“他人事”で動かない」
このような組織では、常に管理職や特定のメンバーに負荷が集中し、思うように機能しません。
原因の多くは、「マネジメントは一部の人がやるもの」という誤解にあります。
組織が本当に強くなるために必要なのは、“全員マネジメント”の発想です。
つまり、「チームの成果を自分ごととして捉え、支え合い、動く文化」を築くこと。
この“主語の変化”が、チームの質を根本から変えていきます。
なぜ“マネジメントは全員の仕事”なのか?
- 【組織の中には“役職がないマネージャー”がたくさんいる】
新人に声をかけて気遣う人
困っている同僚にアドバイスする人
チームの空気をよくしようとする人
こうした“日常のマネジメント行動”は、役職とは関係ありません。
マネジメントとは、肩書きではなく“意識と行動”なのです。
- 【多様な視点と力が、組織を前進させる】
リーダー一人で全ての状況を把握し、的確に判断するのは不可能です。
むしろ、現場の当事者だからこそ気づけること、対応できることが多くあります。
全員が“部分の責任者”として動くことで、チーム全体が柔軟に機能します。
- 【“自分がやるべきか?”ではなく“自分ができることは?”の発想が必要】
「それ、上司の仕事でしょ」
「私は指示されてないから」
「やりたいけど、役割じゃないから」
こうした発言が多い職場では、責任が“誰かのもの”になり、行動が止まります。
“自分がこの組織の一員として何ができるか?”という主語の変化が、行動の質を変えるのです。
“全員マネジメント”が育つ組織に現れる変化
問題が起きても“自分ごと”として解決に動く人が増える
チームの目標に対する主体性が高まる
上司に頼りすぎず、現場での判断力が育つ
意見や提案が活発になり、対話の質が深まる
助け合いの空気が自然に生まれる
これらは、「自分は関係ない」ではなく「自分が関わる」組織文化の中で育まれます。
“全員マネジメント”を育てる5つのアプローチ
- 【「関係の責任」を伝える】
マネジメントは“行動”だけでなく“関係性”にも及びます。
チームメンバーの関係をよくする責任
雰囲気を整える責任
対話の機会をつくる責任
「自分には関係ない」ではなく、「関係に参加している限り、責任がある」という意識を共有します。
- 【“役職に関係なくリーダーシップをとる”機会を与える】
プロジェクト単位で“担当リーダー”を設定
新人のフォローを任せる
会議のファシリテーターをローテーションする
肩書きの有無に関わらず、“場に対する責任”を体験することで、自然とマネジメント意識が育ちます。
- 【「気づいた人が動く」文化をつくる】
「気づいたら声をかける」
「改善点を見つけたら、提案する」
「困っている人を放っておかない」
こうした行動を“称賛”し、“仕組み化”することで、組織全体に“見る・動く”習慣が根づきます。
- 【上司が“マネジメントを委ねる”勇気を持つ】
任せてみる
フィードバックを与える
小さな成功を一緒に喜ぶ
上司が「自分が全部やらねば」と抱え込まず、“マネジメントの一部を開放”することが、全員マネジメントの起点になります。
- 【評価や承認に“マネジメント行動”を含める】
チームへの貢献
他者への支援やフォロー
関係性づくりの姿勢
こうした行動を見逃さず評価することで、「やる意味」が生まれ、行動が習慣に変わります。
「主語の変化」がチームを変える
「誰が悪いか?」から「自分にできることは?」へ
「上が決めるから」から「私たちで考えよう」へ
「任されたからやる」から「やりたいからやる」へ
この“主語の変化”が起きたとき、チームは飛躍的に動き出します。
それを支えるのが、“全員マネジメント”という文化です。
結論:“一部のリーダー”ではなく、“全員が支えるチーム”へ
マネジメントを“職位”から“意識と行動”へと捉え直すことで、組織の可能性は大きく広がります。
その第一歩は、「自分には関係ない」を組織からなくすこと。
あなたのチームでは:
役職者以外が“場を支える行動”を取っていますか?
「これは自分の仕事じゃない」という空気がありませんか?
チームの成果に対する“全員の責任感”は、育っていますか?
“全員が主語になる組織”は、強く、しなやかで、成長し続けます。
マネジメントは、リーダーだけのものではありません。
それは、チームで育てていく“意識の文化”なのです。