【生産性向上100の考え方】#14「リーダーの役割を再設計する」

はじめに

医療機関における「リーダー」とは、必ずしも院長だけを指すものではありません。看護師長、チーフ衛生士、事務長、リーダー職にあるスタッフなど、現場を取りまとめる存在もリーダーに含まれます。

しかし現状、多くの医療機関では「リーダー像」が曖昧で、リーダーが“プレイヤー”として働きすぎる一方、マネジメント機能を十分に果たせていないという課題があります。

リーダーの役割を再設計し、明確に定義することは、組織の生産性向上に直結します。


医療機関でありがちなリーダー像

1. プレイヤー型リーダー
自分が率先して仕事を抱え込み、現場の誰よりも忙しい。結果的に「指導・育成」に時間を割けない。

2. 調整役にとどまるリーダー
院長とスタッフの間で意見を伝えるだけの存在になり、改善や仕組みづくりをリードできない。

3. 役割が曖昧なリーダー
権限が与えられていないため、スタッフに遠慮して指導できない。責任範囲が不明確で、中途半端な立場になる。


リーダーの役割を再設計する意義

1. 組織の「中間層」が強くなる
院長一人に依存せず、現場リーダーが自律的に動くことで、組織の安定性が増す。

2. スタッフ育成が加速する
リーダーが育成者としての役割を担えば、新人教育やスキルアップが体系化され、成長スピードが上がる。

3. 改善活動が継続する
リーダーが改善サイクルを回す役割を担うことで、日々の現場改善が途切れず続く。


再設計のポイント

1. 役割を明確に定義する

リーダーの役割を「現場で最も働く人」ではなく「組織を動かす人」として再定義する。

具体的には以下の4つが柱となる。

・目標共有の伝達者:院長の方針をスタッフにわかりやすく伝え、日常業務に落とし込む。

・改善活動の推進者:小さな改善を拾い上げ、仕組み化して定着させる。

・育成者:新人や後輩を育て、業務を属人化させない。

・橋渡し役:院長・経営層と現場スタッフの意見を相互に伝える。

2. 権限と責任をセットで与える
「リーダーだから責任を持て」と言うだけでは機能しない。改善に必要な裁量や判断権を与え、成果に責任を持たせることが重要。

3. リーダー育成の仕組みを整える

・定期的なリーダー研修

・院長や事務長との1on1で振り返り

・成功事例の共有

こうした仕組みによってリーダーの成長が加速する。

4. 評価制度に反映する
リーダーの役割を「仕事量」ではなく「組織に与えた影響」で評価する。

例:離職率の低下、改善提案件数、スタッフ育成の成果。


医科クリニックでの実例

ある内科クリニックでは、看護師長が「一番働く人」となっていました。採血・点滴・患者説明を全て担い、部下の教育は後回し。その結果、他のスタッフが育たず、常に人手不足感がありました。

そこで役割を再設計し、「業務の半分はマネジメントに充てる」と明確化。教育や改善活動を担ってもらい、現場業務は他スタッフに分担しました。半年後、新人看護師が独り立ちでき、業務がスムーズになった結果、師長自身の負担も軽減。離職率も下がりました。

この事例は「リーダーをプレイヤーからマネジャーへ転換する」ことの効果を端的に示しています。


リーダー再設計を阻む壁

1. 院長の依存
「リーダーに任せると質が落ちるのでは」という不安から、権限を手放せない。

2. リーダー自身の意識不足
「自分が働けば解決する」と考え、マネジメントの価値を理解できない。

3. スタッフの反発
「あの人が急にリーダー面する」と感じるスタッフが出る。
→ 役割定義を全員に説明し、納得感を持たせる必要がある。


再設計を成功させるステップ

1. 院長が「リーダーの役割定義」を全体に宣言する

2. リーダー候補にマネジメント研修を行う

3. 権限と責任を明示的に付与する

4. 小さな成功体験を積ませる(例:改善プロジェクトを任せる)

5. 成果を評価し、称賛とフィードバックを行う


まとめ

リーダーを「現場で一番動く人」と捉える時代は終わりました。これから必要なのは、組織を成長させる仕組みを回す人材としてのリーダーです。

・院長が全てを背負うのではなく、リーダーが育成・改善・橋渡しを担う

・役割定義と権限を明確にし、責任とセットで渡す

・リーダーを評価し、継続的に育てる仕組みを整える

この「リーダーの役割再設計」によって、医療機関は「院長依存型」から「チームで成長する組織」へと進化していくのです。


MHアドバイザリー株式会社
Instagram
https://www.instagram.com/minato_healthcare
X(旧:Twitter)
https://x.com/minato_health